中学受験の戦略
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「復習主義」で成果が出ない場合の対処法
中学受験に限らず、受験勉強においては「復習主義」(予習をせず、復習に専念する)が「予習主義」
(予習・復習の両方を行う)よりも効率的だという声が多く聞かれます。
大手塾でも「予習はしないで(復習に専念して)ください」という指示を出しているケースが多いです。
復習主義が推奨されている理由としては、
・予習は時間がかかる割に理解を深めることが難しい(コスパが悪い)
・中途半端に知識があることで授業での集中的が落ちる
・予習と復習の両方を行うことで膨大な時間がかかる
といったことが挙げられるのではないかと思います。
ただ、難関中学受験生の実情(復習主義と予習主義のどちらが結果が出ているか)を見る限り、
復習に専念している受験生より、予習(先取り学習を含む)と復習の両方を行っている受験生の方が
確率的には結果が出ています。
特に成績上位になるほどその傾向が強く、例えばサピックスの東京校や自由が丘校のα1クラスでは、
復習主義の受験生を探す方が難しいのではないかと思います。
また、成績が伸び悩んでいる受験生についても、復習主義より予習主義が有効なケースが少なくありません。
私のオンライン面談では、成績が伸び悩んでいる(塾の復習テストで偏差値40台など)受験生の親御様から
相談を受けることも多いのですが、試しに復習主義から予習主義に変更すると、
半数以上のケースでは2ヶ月以内に偏差値が10以上改善しています。
復習主義が機能するためには、次の条件がすべて揃う必要があります。
・授業において聞き洩らし等がない(集中力を持続できる)
・説明された内容をその場でスムーズに理解できる(飲み込みが早い)
・指導者の説明がわかりやすい
この中の1つでも欠けると復習に時間がかかってしまい、理解も深まらない結果になりがちです。
一方、軽く予習をしておく(20~30%程度の理解でもいいので取っ掛かりを作る)ことで、
授業での理解度は上がるケースが多く、復習にかかる時間も短縮される傾向があります。
実際、復習主義から予習主義に変更した受験生の親御様に聞くと、復習主義の時の所要時間と
予習主義にしてからの所要時間(予習・復習の合計時間)との比較では、個人差はありますが
所要時間が増えたというケースは少なく、所要時間が変わらないか短縮したというケースが多く
なっています。
仮に所要時間が増えるということであれば、その受験生の場合は復習主義の方が向いている可能性が
ありますので、再び復習主義に戻すものいいかと思います。
逆に所要時間が短縮されたり、所要時間が変わらなくても(成績が上がるなど)理解度が向上して
いるようであれば、予習主義の方が向いている可能性が高いです。
復習主義で伸び悩んでいる場合は、合わなければ元に戻せばいいとポジティブに考えて、
根本的な取り組み方を変えてみるのもいいかもしれません。